元全日本女子・益子直美さん発案 絶対に怒ってはいけないバレー大会 子供の笑顔に「私もやっとバレーを楽しめるようになった」

バレーボールニュース
引用元:スポーツ報知
元全日本女子・益子直美さん発案 絶対に怒ってはいけないバレー大会 子供の笑顔に「私もやっとバレーを楽しめるようになった」

 スポーツ界の指導者のパワハラ騒動が次々、明るみに出ている。そんな中、バレーボール元全日本女子の益子直美さん(53)は「監督が選手を怒らない」小学生の大会を、福岡、神奈川で毎年開いている。指導者から怒られてばかりだった自身の経験から、小学生に楽しんでバレーを好きになってもらいたいとの思いで、大会をたち上げた。この動きを全国に広げたいとしている。

 「あれは怒ったうちに入らないと思うけど、怒ったと思う人?」

 益子さんの問いかけに、試合が終わったばかりのそのチーム選手全員が手を挙げた。

 「でも、みんなが怒ったと思うんだったら、怒っているんだよね」

 言い終わるとすぐに益子さんは、そのチームの監督のところに、注意に向かった。9月に、神奈川・藤沢市で行われた「第3回益子直美カップ 藤沢市小学生大会」でのシーンだ。試合中は、参加チームのベンチに座り、監督の言動をチェック。4試合行われていた体育館を動き回っていた。

 来年6回目を迎える福岡と、この神奈川での大会。きっかけは、自身の体験からだ。中学からバレーを始めたが、当時の指導者からは毎日どなられ、時には殴られることもあった。「褒められたことは一度もなくて、すごくネガティブな選手になった」。高校でも指導は厳しかった。実業団チームに入ると「楽しんで試合をやりなさい」と言われ「違和感を覚えた」という。

 自らの苦しかったバレーへの思いを、小学生に経験させてはいけないという気持ちが募っていた時に、知人を通して、福岡で小学生の大会を行いたいという相談を持ちかけられた。益子さんは「小学生のうちは、バレーを好きになってもらいたい、伸び伸びプレーしてもらいたい。そのためには、監督が怒ってはいけない大会を」と提案。自らの名前を冠にした大会が15年、福岡・宗像市で始まった。

 同大会運営委員長の北川新二さん(49)は「最初聞いた時は正直びっくりでした。だけど、私が経験した柔道や野球、サッカーに比べてもバレーの指導者は怒る人がほとんど。父母も合わせるように怒る。子供たちの逃げ場がなくなっていると思い、これは絶対やるべきと思いました」と振り返った。

 来年の1月12、13日の大会には、福岡だけではなく、佐賀、大分、山口などから女子32、男子12チームが参加する予定だ。1日目だけ参加するチームを含めると約50チームにも上り、父母なども合わせると約1000人が集まる見込み。「第1回から比べると、この大会は楽しまなければならない大会という意識が浸透しています」と北川さんも手応えを感じている。

 ゲームなどで遊び、子供、監督、父母らから笑いがあふれる状態から試合に入る。今回からはさらに、益子さんは、怒りの感情をコントロールするアンガーマネジメントの講演を行う。「怒っちゃいけないというだけでなくて、怒りをどうやって制御すればいいかを話して、監督さんに分かってもらえればと思います」益子さんは今年、アンガーマネジメントのインストラクターの資格を取得した。

 「子供の笑顔を見るなどして、私もやっと、バレーを楽しめるようになった。大会を広げていければと思うし、声をかけてもらえば、どこにでも行きます。バレー以外でもさまざまなスポーツが一緒になった大会を開くのが夢です」と目を輝かせていた。

(編集委員・久浦 真一)

 ◆益子 直美(ますこ・なおみ)1966年5月20日、東京・葛飾区出身。53歳。共栄学園高では、84年春高バレーで準優勝。3年時に全日本に初選出。イトーヨーカドーでは89年度日本リーグで、チームを初優勝に導く。92年、現役引退。現在は、スポーツキャスター、タレントとして活動している。身長175センチ。血液型A。

報知新聞社

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