スポーツ選手が垣根超え社会貢献「アスリートネットワーク」が10周年

引用元:産経新聞
スポーツ選手が垣根超え社会貢献「アスリートネットワーク」が10周年

 五輪などの舞台で戦ってきたさまざまな競技のトップ選手や指導者らが集まって発足した「一般社団法人アスリートネットワーク」(柳本晶一理事長)が活動開始から10年の節目を迎えた。11月25日に大阪市内のホテルで開かれた「感謝の夕べ」には、関係者ら約400人が出席。柳本理事長は「考えていたよりも多くの人たちに、活動に賛同してもらえた。コツコツと積み重ねてきたものが参加者の数となって表れた」と手応えを口にする。競技の垣根を越えた社会貢献活動などの先駆けとなった団体の10年を振り返った。

■子供の笑顔が勇気に

 柳本理事長や副理事長の朝原宣治さんら関西を拠点とする選手や指導者が準備委員会をつくったのは、2009年。「自らの成長の過程で得た本物の感動を伝えるため、自発的にネットワークを構成する」との理念に興味を持った約30人が集まったが、柳本理事長は「最初は烏合(うごう)の衆だった」と述懐する。

 手探りで活動を始め、まずは学校や自治体との連携を模索。それぞれの競技経験を生かした子供向けクリニック(スポーツ教室)を開催することにした。

 ある小学校でのこと。バレーボールの隣でバスケットボールの教室を開いた。長くバレーボールに携わってきた柳本理事長にとっても初めての体験。「すごく新鮮だった。終了後に開いた食事会のときの子供たちの笑顔が忘れられない。そこで活動を続けていく勇気をもらえた」と話す。

■壁を乗り越え

 ただ、すべてが順風満帆だったわけではない。活動を続けるには資金が必要だが、スポンサー集めなどには苦労した。「トップアスリートとして活躍していたころのツテを頼り、それなりの自信もあったが、思ったようにはいかなかった。現実を突きつけられた」と柳本理事長。選手やチームを応援してもらうのと、資金を提供してもらうのは別だということを痛感させられた。

 風向きが変わったのは、2011年の東日本大震災。スポーツが持つ発信力、社会貢献の力が脚光を浴びるようになり、アスリートネットワークの活動も注目されるようになった。

 全国組織の「一般社団法人日本アスリート会議」の設立にも携わった柳本理事長は「いろんな壁があったが、僕らは楽天的。成功することしか考えなかった。あきらめずにやってきた」と力を込めた。

■おもいやりの大会に

 徐々に事業の枠組みを広げたアスリートネットワークは、選手の現役引退後のセカンドキャリア形成にも役立っている。だが、柳本理事長は「駆け込み寺ではない」と言い切る。

 「トップアスリート自身が(事業やイベントに)直接的に関与し、企画、運営する」との不文律があるからだ。キーワードは「自信」「自律」「自立」の3つのG(自)。知名度を生かした単なる広告塔や客寄せパンダとなるのではなく、メンバーには自らが主体的に行動することが求められている。

 関西発の団体として力を入れようとしているのが、東京五輪・パラリンピックの翌年に開かれる生涯スポーツの祭典「ワールドマスターズゲームズ2021関西」への協力。柳本理事長は「誰でも参加できる大会を通じ、スポーツを『みる』から『する』に変えていく意義は大きい。多くのアスリートが参加して心のバリアフリーを進め、日本人の心にある『おもてなし』が『おもいやり』になるような大会になれば」と話している。

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