「水増し」金星が生んだ金星 【スポーツの言葉】(2)

引用元:時事通信
「水増し」金星が生んだ金星 【スポーツの言葉】(2)

◇女子バレーからラグビーへ

 2019年ラグビー・ワールドカップ(W杯)で日本がアイルランドを破って「金星」と騒がれた。リーチマイケル主将が言うには、女子バレーボールW杯で前日、日本がセルビアを倒す「金星」を挙げたのを知って勇気づけられたとのこと。異なる競技間の相乗効果として話題になった。
 
 確かにセルビアは前年の世界選手権で優勝し、W杯前の世界ランクも1位。日本は6位なので一部メディアは「金星」と騒いだが、この時のセルビアは主力ではなかった。日本代表には「相手は2軍だったんで…」とバツが悪そうな選手もいた。

 大本の大相撲では定義が明確で、前頭の力士が横綱を倒した場合(不戦勝や相手の反則負けなどは除く)だけ。関脇や小結が勝っても金星ではない。

 金星を挙げると年6回の本場所ごとに支給される報奨金が4万円増額され、引退まで続く。だから下位力士は狙う。稀勢の里(現荒磯親方)は在位12場所で18個もの金星を与えた。日本相撲協会の財政負担が増えるのだから、横綱が金星を与えたらその分、減俸せよとの意見もある。

 一方で、金星を喜ばない力士もいる。19年秋場所で鶴竜から初金星を奪った朝乃山は「これが最後になるように」と言った。前頭を卒業し、横綱に勝っても金星にならない地位に上がりたいという意味だ。今年春場所後、大関に昇進した。

 ラグビーのアイルランド戦勝利も、大相撲に照らせば「金星」ではないとの見方がある。どうも昨今は「金星」の水増し報道が多い。日本のラグビーが世界の「大関」くらいになれば、そんな議論も起きないのだが。(時事通信社・若林哲治)

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