Vリーグ界きってのスーパーサブ。遅咲き鈴木悠二の武器と新たな挑戦。

引用元:Number Web
Vリーグ界きってのスーパーサブ。遅咲き鈴木悠二の武器と新たな挑戦。

「“継続は力なり”って、まさにあいつのことですね」

 バレーボールのV.LEAGUE DIVISION1に所属する東レアローズ(男子)の篠田歩監督は、こう話していたことがある。

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“あいつ”とは、東レでこの春12年目を迎えた鈴木悠二のこと。

 周りに左右されることなく、どんな立場にあっても腐らず、いつも変わらずコツコツと努力を積み重ねてきた33歳。その姿を周囲はずっと見てきたから、2019/20シーズン終了後に行われたVリーグ機構による選手間投票で、鈴木が「スーパーサブ部門」の1位に選ばれたことに、東レのスタッフもチームメイトも喜んだ。

あれだけミスしない選手はいない。

 鈴木の武器はジャンプサーブである。選手間投票の選出コメントには、「常に強力で安定したサーブを入れられる」、「大事な場面でも確実に仕事をこなす」といった称賛の声が並んだ。

 篠田監督も以前、「ジャンプサーブであれだけミスしない選手はいない」と語っていた。

 助走からフワッと軽やかに跳び上がると、「ヨッ」という掛け声とともに鋭いサーブがサイドライン際や、レシーバーの間に突き刺さる。

 その土台ができたのは東レでの1年目。当時、秋山央監督(現・筑波大学男子バレーボール部監督)に言われた言葉が転機になった。

「1年目のリーグ中に、秋山さんに『悠二はサーブがいいけど、ピンサ(リリーフサーバー)で出さないのは、ああいう場面でサーブを打つということがすごいことだから。もっと練習しなきゃダメだぞ』と言われました」

 その時、秋山監督が例に挙げたのが、かつてサントリーサンバーズを前人未到のリーグ5連覇に導いたブラジル出身のオポジット、ジルソン・ベルナルドだった。

「ジルソン選手はサーブのトス練を1時間した、という話をされて、『お前もやんなきゃ、出れないよ』と言われました。それから、僕もトス練を始めました」

オフの日も繰り返したトス練。

 サーブを安定させるためには、まずトスを一定にすることが重要。チームの全体練習が終わると、鈴木は助走に入る位置や、トスが落ちる位置を自分の歩幅で計り、ひたすらトスを上げ続けた。

 当時、現役選手だった篠田監督も、「全体練習のあと、壁に向かってずーっと1人でトスを上げていた」鈴木の姿を鮮明に記憶にとどめている。

 鈴木は、打たずにトスだけを上げて、壁に当たって戻ってきたボールを拾い、またトスを上げるという単調な繰り返しを1時間、毎日続けた。リーグ中は月曜日が唯一のオフだが、鈴木は月曜日にも必ず体育館に来てトス練習をした。

「意外と苦痛ではなかったです。たぶん、僕は変なんだと思いますけど」と笑う。

 地道な練習を、苦だと思わずに続けられることは1つの才能だ。

 そのトス練習を始めて2週間ほど経った頃から、試合で起用されるようになり、結果が出るにつれ、サーブに自信を持てるようになっていった。

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